混色のコツ 水彩絵具の気質(粒状化、ステイニング)

誰でも、定番の混色の組み合わせがあると思います。私も、混色表現の幅をひろげたくて、手当たりしだい、試したこともあります。


絵具は物質なので、色のスペクトル要素(色相、彩度、明度)だけでは、混色の結果を予測することができない面があります。


物質としての絵具は、それぞれに、特有の「気質」をもっています。混色をプランする時は、絵具の気質と対話します。

絵具の物質的な気質については、「透明 or 不透明」の他に、「ステイニング(staining) or 粒状化(グラニュレーションgranulation)」という要素があります。「着色力の強弱」という要素もあります。

■「粒状化」とは、水彩紙の上に細かな斑点状に、顔料の粒子が沈着する特性のことです。ウルトラマリンブルーなどがそうです。


■「ステイニング」の絵具は、顔料の粒子が非常に細かく、粒状化の絵具のようなザラザラ感をつくることがなく、紙の表面にしっかり馴染み、染色したような感じになります。


●着色力の強弱とは、少量でよく効く絵の具と、そうでない絵具との違いです。

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↑粒状化絵具(W&N125 キャプトモータムバイオレット)

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↑ステイニング系の絵具(シュミンケ218 トランスルーセントオレンジ)


◇物質としての絵具(顔料)の「気質」要素◇

透明       ⇔   不透明
ステイニング  ⇔    粒状化
着色力強    ⇔   着色力弱


絵具(顔料)ごとに、これらの各要素は、様々な強弱の組み合わせとして存在します。


ステイニングの性質は、透明系顔料の特質と決まっている訳ではなく、不透明系顔料の中にも、ステイニングの性質を持つものがあります。


透明系の絵具の中にも、粒立ちがザラザラと大きく、粒状化の性質を持つものもあります。


中には、ステイニングの性質と、粒状化の性質を、同時に併せ持っている絵具もあります(W&N 125 キャプトモータムバイオレット)。


「色の3属性(明度、彩度、色相)」の知識によって、絵具と絵具の混色の結果は、おおよその予測ができます。


実際には、混色の結果が、イメージどおりにならないことがあるのは、絵具の物質的面「気質要素」が影響しているからです。

”美しく力強い色あい”を作るために、混色の際にめやすにしているのは、


透明系  +  粒状化系
透明系  +  不透明系
半透明系 + 半透明系


です。(私の好みということで、ルールではないです)


不透明系 + 不透明系 


でも、上手くいく場合もありますが、”濁りの感じ”が強調されやすい混色のパターンです。


いわゆる”反対色”同士を混色して、黒っぽい色や灰色を作るということが、行われます。


「青系+茶系」は定番、「青系+オレンジ系」という場合もあります


ここで、”黒”によらず、あえて混色で暗いを作る時、その結果に求めたい要素は、「色の深み(しっかりとした暗さ)」と、「ボディ(抵抗感)」の両方です。

”ステイニング”かつ”透明系”の絵具だけ、2色混ぜて、グレーや暗い色をつくった場合、とても滑らかでインクのような質感のグレーが出来上がりますが、ボディ(抵抗感、物質間)が物足りません。


(もちろん、このような混色を上手に使って美しい絵を描く人もいます。)


反対に、不透明の絵具ばかりを混ぜると、深み(透明感)の無い、暗さの足りない、ヘドロのような質感になることがあります。


不透明に色には、透明の色を混ぜると具合がいいです。透明系の絵具が”色の深み”を、粒状化系や不透明系の”絵具がボディ”を表現してくれます。


水彩絵具の気質要素(粒状化、透明不透明度)については、ウィンザー&ニュートン社の、水彩絵具カタログに詳しく記されています。



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by nzmaro | 2014-03-06 00:26 | 水彩絵具 | Comments(0)
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