透明水彩絵具 3つのメーカーの特徴(ホルベイン、W&N、シュミンケ)

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a0143756_09114519.jpgホルベイン
リーズナブルな価格で使いやすい水彩絵具です。


顔料に対するアラビアゴムの割合が多く、どの絵具も、比較的同じ強さの着色力に整えられています。


例えば、着色力の強い顔料として、フタロシアニン系のブルーやグリーンがありますが、こういった顔料も、調合によって適度な着色力に整えられています。


アラビアゴムの割合が多いので、ベタで濃く塗ると、テカリが出ます。


アラビアゴムの多さにより、適度な粘土があるので、wet in wet(湿った紙の上に絵具を落としにじませる) で描く時、拡散に制動がかかり、使いやすいです。


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ウィンザー&ニュートン
強い発色とボディが特徴です。着色力の強い不透明色には、特にW&N社の個性が表れています。


赤系の発色、ボディの強さ、粒立ち感は見るべきものがあります。また、W&Nの絵具は、全体を通して清涼でクリアな発色というイメージもあります。

体質顔料の選択とその配合の感覚に優れています。(体質顔料とは、無色で、それ自身着色力を持たない白い粉です)

赤系の顔料に対して、やや荒め(粒の大きめ)の体質顔料を混ぜることにより、膨らみ感のある発色をさせることができるのですが、W&N社はそのことをよく分かっていて、一部の赤系や、人工酸化鉄系の赤、オペラーローズ等に、やや荒めの体質顔料を配合しています。


荒めの体質顔料のデメリットとしては、固形状態からの、溶け出しが悪いこと、筆が磨耗することです。 →筆を長持ちさせる絵具の溶かし方


全色を通して、やや荒めの体質顔料を使い、しっかりとしたボディと発色が特徴です。

 顔料(色の粉)の割合は高く(濃く)、着色力はしっかりと強く、それぞれの顔料の個性、気質がストレートに出て、専門化用絵の具としてのパフォーマンスをそなえています。


着色力が強い顔料を、調合によって適度に弱めるといった操作をしていません。


使い手が、色による着色力の差に振り回されないように、使いこなす絵具です。


 3種類以上の顔料をブレンドしてつくった絵具の数が、全96色中たったの7色です。3社の中でもっとも少ないです。アーティスト用絵具として、単一顔料による、顔料本来のストレートな気質を持つ絵具を、提供する姿勢に重点がおかれていることが見て取れます。


 製品カタログで、技術的な情報が詳しいいることも、W&N社の特徴です。


様々な点で、専門家志向の絵具づくりをしているのがW&N社です。


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シュミンケホラダム
仕入れた顔料を、時間をかけてさらに研いで肌理を整えるなど、こだわりの絵具作りのメーカーです。高価ですが、最高のテイストがあります。


透明色に素晴らしい絵具がたくさんあります。パレットで溶いた時、ゾクッとするほどの美しさと色合いの深さがあります。


全体に滑らかさを重視した絵具作り、水彩紙のテクスチャーと、完全に同化、馴染むような乾き上がりになります。しっとり系です。その品の良さは、比類ないものです。


カタログによると、メーカーのポリシイによって、オックスゴールをすべての絵具に配合しているとあります。


オックスゴールには、弾きの強い水彩紙にも、絵具がよく馴染むようにするはたらきがあります。絵具の乾き上がりの質感をしっとりとさせる作用もあります。


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W&Nの透明水彩が、やや荒めの体質顔料の配合により、発色の粒立ち感、視覚的な膨張感をポリシーにしているのに対して、


シュミンケホダダムは、オックスゴールをすべての絵具に配合していることからも分かるように、透明感、色合いの深み、しっとり感をポリシーにしているようです。


粒立ち感のW&N、しっとりのシュミンケホダダム、というイメージです。

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絵具で、「しっとり感、透明感」と、「粒立ち感、膨張感」実は、相反する要素なのです。片方を立てれば、片方立たず、という要素です。ところが、絵を描いていて、常に両方欲しくなるという要素でもあります。

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この相反する要素を、具体例で言えは、日本画の岩絵の具は、体質感(材質感)と、美しい粒立ち感がありますが、透明感としっとり感はありません。


油絵具は、基本的に、しっとり感、透明感になります。油絵具に、ザラザラとした砂を混ぜて、砂の材質感を持たせることは可能ですが、顔料がオイルにくるまれている以上、顔料そのものの粒立ち感を表現することはできません。


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シュミンケホラダム社は、複数の顔料をブレンドした絵具を作ることにも積極的です。全110色中、3種以上の顔料ブレンドによって作った絵具は14色。



際立ってすぐれたブレンドのセンスがあります。491パリブルー(3種ブレンド)、495ウルトラマリンバイオレット(2種ブレンド) など、吟味されたブレンド感覚に脱帽します。


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「3種類以上の顔料ブレンドの絵具」がラインナップに占める割合
ホルベイン:  29%(全109色のうち)
W&N:     7%(全96色のうち)
シュミンケ:   13%(全110色のうち)

オリジナル塗り見本 60色見本 140色見本


動画
ぼかしと白抜きでバラの水彩「サハラ’98」




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by nzmaro | 2014-03-16 18:49 | 水彩絵具 | Comments(0)
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